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株主優待の裏技、クロス取引の方法と注意点

2016年10月30日

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効率的に、おいしく株主優待をゲットする裏技にクロス取引というものがあります。ここではその意義と、知っておくべき前提を踏まえた上で、クロス取引の具体的方法と、注意点について語ろうと思います。

1.権利落ち日の株価下落対策

すばらしき株主優待ライフを満喫するためには、いわゆる「権利落ち日」の前日までに株を買っておく必要がありました。そして「権利落ち日」には、もうその株を売っても良いのですが、残念な事に優待銘柄の多くは、権利落ち日に「配当金+優待」の分だけ下がります。

 

例えば、権利落ち日の前の日に「100株で10万円」の株が、「2000円の配当と1000円相当の優待品」が得られる銘柄だったとしたら、翌日にはその株の値段が「100株で9万7千円」になってしまうというようなことになりがちです。

 

この「権利落ち日の株価下落」に対処する裏技のようなものはないものでしょうか。実はあります。それが「クロス取引」という手法です。「つなぎ売り」とも言います。このクロス取引を理解するには、その前に「信用取引」という仕組みを理解する必要があります。

 

2.信用取引きとは

配当や優待以外の、株で稼ぐ最もオーソドックスな方法は「株式の売買益を得ること」です。

例えば、これから株価が上がりそうなA社の株を10万円で買い、思惑通りに11万円に値上がりしたところで売れば、差し引き1万円が儲かるという極めてシンプルな方法ですね。要するに「安く買って、高く売る」ということです。

 

ところが、摩訶不思議なことに、株取引の世界では、これとは逆の順で「高く売って、安く買い戻す」ということができます。例えば、株価の下落しそうなB社の株を10万円で売っておき10万円の現金を得た上で、思惑通りに9万円に値下がりしたところで買い戻せば、差し引き1万円が儲かるというわけです。

 

実はこんなふうに、持ってもいない株を売るために、「売るべき株を証券会社から借りることのできる制度」があるのです。それを「信用取引」と言います。

 

もう少し詳しく説明します。あなたは今、200万円分の資産を証券会社の口座に置いているとします。当たり前のことですが、普通はこの状況であれば、200万円分の取引しかできません。でもなんと、証券会社は、この200万円分の資産を担保として、あなたに現金を貸してくれたりするのです。そうして得たお金で、さらに株を買うことを「信用買い」と言います。これが「本当は持ってもいない現金で株を買う=カラ買い」です。

 

でも当たり前のことですが、借りたお金で買った株が値下がりすれば、損をします。30万円借りて買ったC社の株が、20万になっても借金が減るわけではありません。むしろ利息がついて日々借金は増えていくわけです。そんなわけで信用取引というのは、かなり通常の株式売買よりもさらにリスクの高いものです。上級者向けであり、信用取引をするためには、証券会社から審査を受ける必要があるのも納得ですね。

3.株の信用売り(カラ売り)

そしてさらにビックリすることがあります。証券会社は、あなたの証券口座にある200万円分の資産を担保として、あなたに「株」まで貸してくれたりするのです。なお、現金を借りると利息を取られるように、この場合は借りた日数分に応じた株のレンタル料を取られます。

そう、この証券会社から借りた株を売って、値段の下がったところで買い戻すことで、上で述べた「持ってもいない株を売る」ということが可能になるわけです。これを「信用売り(カラ売り)」と言います。

 

あなたは証券会社から借りたC社の株を30万円分売ったとします。この時点であなたは30万円の現金を得るわけですが、借り物の株は証券会社に返さなければいけません。ずっと借りていると、その分のレンタル料もかかりますね。

 

ですから、あなたはそのC社の株をもう一度市場から調達する必要があります。この買い戻しの際にC社の株が20万円に下落していれば、差額の10万円があなたの儲けとなります。おめでとうございます。ですが、逆にC社の株が40万円になってしまっていたら…10万円の損となる。そういうことです。「信用売り」も「信用買い」と同じくかなりリスクの高いものですね。

 

ちなみに、相場の格言に「買いは家まで売りは命まで」というものがあります。買いの方はたとえその会社が倒産して株が大暴落しても、投資した金額が無くなるだけです。信用買いであれば、その分の借金が残るわけですが、ある意味そこまでに過ぎません。上記のC社の例で言えば30万円がゼロになっても、マイナス30万円までの損失で終わりです。

 

一方、売りの方は株価に上限は無いので、どこまでも果てしなく損失額は大きくなります。C社の株は理論上、300万円にも、3000万円にもなり得ます。普通株価が上がれば嬉しいものですが、「信用売り」をしている人にとってはものすごい勢いで損失が増えていくまさに地獄の日々になるわけです。

 

それでも上級者の中には、これらの信用取引をうまく使ってガッポリ稼ぐ人もいます。危険領域に入る前に潔く「損切り」するのがポイントだと言われたりします。

 

4.クロス取引とは

さて、ちょっと恐い話をしておいた上で、いよいよ本題の「権利落ち日の株価下落対策=クロス取引(つなぎ売り)」です。

例えば、権利落ち日の前の日に「100株で10万円」だった株が、権利落ち日に「100株で9万7千円」になると見込まれるとします。ならばこうすれば良いのです。仕込みの段階で「100株で10万円」を買うと同時に、同じ銘柄を証券会社から借りて「100株で10万円」で売っておくのです。

 

さて、権利落ち日です。株価は案の定3000円分下落したとします。その時あなたは優待目当てで買っておいた100株を売り、同時に信用で売っておいた100株を買い戻すのです。すると見事に「3000円の損+3000円の益」で損益が相殺されて、「権利落ち日の株価下落」局面を無事にクリアします。

 

ちゃっかりと「配当と優待」を得た上で、売買益という意味では、プラスマイナスゼロの損失無しで乗り切れるのです。これが「クロス取引」です。このクロス取引では売る分と買い戻す分の株価は同額である必要があります。そのため普通このクロス取引は「権利落ち日の相場の始まる時(寄付時)に行われることになります。

 

5.クロス取引の注意点

このクロス取引では、取引にかかる手数料や、株のレンタル料は「配当+優待」で得た利益から引かれることになりますが、実はこのレンタル料がくせものです。

 

信用売りをする人が増えると、証券会社は貸すための株が不足して、その株を機関投資家などから借りて来て調達したりします。その際に証券会社は、その機関投資家にレンタル料を払うため、さらにそのレンタル料が、信用売りをしている人のレンタル料に、日ごとに上乗せされます。これを逆日歩(ぎゃくひぶ)と言います。

 

例えば、先程の3000円分の配当+優待を得る場合で、結果的に3000円のレンタル料が取られたとしたら…。信用売りをした意味がないですね。これがレンタル料6000円とかになったら、もう勘弁してくださいということになります。クロス取引にはこのような落とし穴がありますので、もしチャレンジされるならば、それなりのリスクがあることは意識して行ってくださいね。

 

株の世界にはいろいろなテクニックがあるものですね。以上、株主優待を効率よくゲットするための裏技、クロス取引について説明しました。

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