株主優待のための基礎用語〜ナンピンと損切り
2017年6月1日
株主優待を目指して株を買う皆さんの中には、長期保有派の方と、短期保有の方の両方がおられると思います。今回は短期保有派の方が、残念ながら株の売り時を逃してしまった時の対処法として代表的な、ナンピンと損切りについて解説してみます。
1.売り時を逃すこともある
株主優待を目指して株を購入し、無事に優待の権利を得て、「やれやれこれでこの株を売れる」と思ったとしても、相場はそんなに甘いものではありません。
優待の権利を得て、その株をいざ売ろうとした時には、買った時よりも株価が下がっているということは、しばしば起こるものです。
とはいえ、これが一時的な下げであれば、慌てる必要はありません。株価が日々上がったり下がったりするのは当たり前のことです。
ゆったり構えていても良い局面で、無駄に動揺するのは、賢明ではありません。
売るべきタイミングを逃さないように気をつけつつ、暖かく相場を見守りましょう。
でも、だんだん相場の空気が読めるようになってくると、気づくことがあります。
「あ、もうしばらくこの株は、自分の買った価格帯に戻ってくることは無さそうだな」と。
そう、投資の世界でいう「塩漬け」という状況です。
もちろん、長期の視点で見れば、いつかはその株が、買った当時の価格帯まで戻ってくれる可能性はあります。「じっと我慢の長期保有」というのも一つの戦略です。
でも、それ以外に戦略が無いわけではありません。そのひとつが「ナンピン」であり、「損切り」なのです。
2.ナンピンについて
ナンピンとは「相場が安くなるにつれて買増しをして買値の平均を安くすること」です。
具体的に例をあげて説明しましょう。
あなたは某食品会社の株を100株、優待目当てに1,000円の価格で買ったとします。
ところが優待の権利確定日を経て、その株を売ろうと思ったときに、その株が残念ながら800円まで値下がりしていたとします。
賢明なあなたはじっとその株の値動きを観察したところ、「どうやらここしばらくこの株は下値800円、高値950円辺りを行ったり来たりしているようだ」と気づきました。
この時、こういう戦略が浮上します。
その株が800円の時を見計らって買い増しをするのです。
そうなると、あなたはその株を200株保有することになりますが、平均取得金額は(1,000円+800円)÷2で、900円となるのです。
そして、その株が950円に来たところで200株売れば、見事に50円×200=10000円の売却益を得られるわけです。
これが理想的ストーリーですが、残念ながら相場は個人の思惑通りに展開してくれるとは限りません。
もしかするとあなたが800円で買い増したその時、さらにその株が下がっていく可能性もあります。
もちろん、さらにナンピンを続けて、どこまでも買い下がっていくという方法もあります。
ですが、ここで問題があります。ナンピンはだんだんと利かなくなってくるのです。
考えてみれば「100株保有」に対しての、「100株買い増し」は対等の力があります。
でも「200株」に対して「100株」を買い増しても、今度はその影響力は半分となっています。
さらにこれが300株400株となっていくにつれて、「買い増しが平均購入価格に及ぼす影響力」はますます低下していきます。
ナンピンをする際には、その点に注意が必要です。御自身の投入資金と期間がどこまで持ちこたえられるかを、クールに判断しなければいけません。
単に塩漬け株を増量しただけに終わり、投資活動自体がどん詰まりになる危険性の存在を意識しておきましょう。
3.損切りについて
一方、極めてわかりやすい戦法が「損切り」です。その名の通り、「損を受け入れて売ってしまう」ということです。
投資を実際にやっていない頃は、私自身はこの意義が全くわかりませんでした。
「何でわざわざ損とわかっていて売るのか」と。
でも自分が実際にやってみて、わかって来ました。
まず、投資においてある程度「資金を回す」というのは重要なことなのです。
それなのに、資金が、ある特定の銘柄だけで止まっているのは、かなりもったいない状況であったりするのです。
また、同じ資金をもっと上昇基調にある銘柄に突っ込んだ方が、明らかに儲かりそうな局面があります。
確かにそんな時、「少しの損失を出すことを厭わずに、より大局を見て損切りすること」が、有効な場面が存在するのです。
損切りのうまい人は、独自のルールを決めている場合が多いようです。例えば「何パーセント下がったら売る」というようなものです。
人間はなかなか客観的になれないものなので、そういったルールに厳格に従う方式もひとつの手だと思います。
私自身も、実は何度か損切りを試したことがあります。
ナンピンと損切りのどちらが有効なのかは、資金の余裕度合いによっても違いますし、相場の局面によっても違っていて、一概にこれが正解というのは、決めづらいと思います。
4.そこで株主優待
さて、なかなか何が正解かを確定しづらい相場の世界ですが、これは間違いないと思うことがあります。
「やっぱり優待をもらうのは嬉しい」ということです。たとえ売り時を逃した場合であっても、また半年後や一年後に、優待の季節が来るとそれはそれで嬉しいものです。
株主優待の中には長期保有で内容がグレードアップするものもありますよね。
そういう意味では、やはり優待のある銘柄を投資対象にするのは心強いと思います。
売り時を 逃したときも 大丈夫 株主優待 君がいるから
私の作った和歌です。そんな気持ちを歌ってみました。
以上、今回は株の売り時を逃してしまった時の対処法として代表的な、ナンピンと損切りについて解説してみました。皆様の充実の株主優待ライフのヒントとなれば幸いです。