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ウンウントリウムpart.2――ニホニウム

2016年6月13日

自販機部門の船木です。

 

昔に比べて、日本らしさって何だろうなあと思ったりします。そもそも「その国らしさ」っていうことが、2005年の愛知万博を見に行った辺りから、自分の中でよくわからなくなったのを思い出します。

 

1991年のソ連崩壊辺りから少しずつ「グローバリズム」という言葉がもてはやされるようになり、それでも最初のうちはピンと来ませんでした。ちょうどパソコンとともにインターネットの利用が急速に普及するようになり、誰でも携帯電話を持つのが当たり前になって、デジタル機器が日常生活の中に当たり前のように入り込んでくるようになると、それまでと生活様式が一変した気がします。1970年のとき、親だけでなく祖父母にも連れられて行った大阪万博で国別のパビリオンを見たときには、小学生ながらに「ああ、この国はこんな国なんだあ」なんて感心しながら、その国その国の特色が色濃く出ていて、国同士のカラーがはっきり違う感じがしていました。ところが、それから35年後の愛知万博では、「どこを切っても金太郎飴」ではありませんが、どの国のパビリオンを覗いてみても、「どこの国も一緒」感が露骨に表れていて、げんなりしたものです。

 

それからさらに10年以上が経って、携帯電話もスマホになり、人とのコミュニケーションもe-メールにしろtwitterやLINEにしろ、デジタル機器を通さないとやりにくい、面倒くさい時代になってしまいました。また、グローバリズムという意味では、大阪万博の頃には珍しかった外国人も、今やどこでも当たり前に見るようになり、それどころか、いろんな国の人を目撃するようになって、どこの国を歩いているのかわからなくなるほど、外人とすれ違うことだってあります。一方で「異常気象、異常気象」とうるさいほどTVなどで取り上げられるようになり、その異常気象さえも今や日常茶飯事になって、最近は日本らしい四季というか季節感というものもあまり感じなくなりました。

 

1982年のさだまさしのソロ7枚目のアルバム『夢の轍』の片隅に入っていた「前夜(桃花鳥)」という曲が「トキ」という鳥の学名である「ニッポニア・ニッポン」という名前にあやかって日本について想いを巡らせていくような歌詞になっていましたが、それほど日本人にとって親しみを感じない鳥に、まるで日本を代表するようなたいそうな学名が付いているのを知ってびっくりしたものです。その純日本産のトキも確か2003年にはすべて死んでしまい、どこか物悲しく感じました。ある意味、オリンピックなどのスポーツの国際大会とかで国別の試合を声援するときくらいにしか「ニッポン」とか「ニホン」という言葉の響きすらあまり聞かなくなったなったんじゃないでしょうか。

 

というわけで、かなり前振りが長くなってしまいましたが、要は学名くらいでしか「ニッポン」とか「ニホン」という言葉を聞かないという話で、今度は元素の名前に「ニホン」を冠することになりそうだというお話です。

 

日本初、アジア発の元素

先日6月8日に、昨年末に原子番号113(仮名:ウンウントリウム)の元素の命名権を獲得した理化学研究所により、ついに「ニホニウム」(nihonium)という名称で、国際純正・応用化学連合(IUPAC)に提出され、悲願の日本命名の元素となるようです。ちなみに、元素記号の案は「Nh」だそうです。

 

理化研113番元素特設ホームページ

 

国名を冠した元素名

実際、これまで発見されている元素は、まだ正式に名前が決まっていないものも含めて、118種類ありますが、そのほとんどがヨーロッパおよびアメリカ合衆国の命名であり、日本どころかアジア命名自体も今回が初となるようです。しかも、その118種類の元素のうち、国の名前を冠しているものと言えば、原子番号32のゲルマニウム(ドイツ)、原子番号44のルテニウム(ロシア)、原子番号84のポロニウム(ポーランド)、原子番号87のフランシウム(フランス)、原子番号95のアメリシウム(アメリカ)と、意外にも5種類しかなく、「ニホニウム」が決まれば国名由来の元素は6ヶ国目ということにもなります。

 

30+83=113

自然界に自然に存在する元素は原子番号92のウランまで約80種類しかなく、それ以外の元素は人工的に作り出される元素ばかりで、その多くが放射性元素です。それで、人工的ということは、どうやって作り出すのかということですが、それを表す数式が「30+83=113」という単純なたし算です。これは原子番号のたし算を表しますが、原子番号とは原子核における陽子の個数のことですから、簡単に言えば、原子番号30の元素の亜鉛(Zn)の原子核と、原子番号83のビスマス(Bi)の原子核を衝突させ、核融合させて、113番元素を作り出そうというわけです。2つの元素から新しい物質が作られるものと言えば、原子番号1の水素と原子番号8の酸素から水が作られるように、その多くが「化合」と呼ばれる電磁気力を媒介とするもので、原子核同士がくっついて1つになるようなものが「核融合」です。化合は化学の世界ですが、核融合は原子核物理の世界です。この核融合反応を起こさせるのが大変なのは、1兆分の1cmというあまりにも小さい原子核を狙ってぶつけるということで、そのほとんどがぶつからず、ぶつかったとしても核融合が起こる確率は100兆分の1と、気の遠くなるほど小さいことです。そこで、直接的に狙うのは非効率ということで、大量の亜鉛原子核をビームにしてビスマスに当て続けるという方式がとられました。

 

実験開始が2003年9月と言いますから、タイミング的には、まさに、前述の学名「ニッポニア・ニッポン」の純日本産のトキがこの世から姿を消そうとしていた頃から、実験を始めていたことになります。そして、約1年ほどかけて1つ目の合成が確認され、さらに約1年かけて2つ目が合成されてからはその後なかなか合成できず、7年以上もかけてようやく2012年8月に3つ目の合成が確認できたそうです。9年間で、400兆回もの衝突実験を繰り返してたった3個という気の遠くなるほどの確率を制して成功したわけです。

元素周期表_ニホニウム

元素周期表(出典:http://www.asahi.com/articles/photo/AS20160609000384.html)

 

元素の命名ルール

さて、当初有力だと思われていた「ジャパニウム」や「ジャポニウム」の「ジャパン」や「ジャポン」の由来が日本語ではないということで避けられたようで、日本語にこだわるということで国際的にもポピュラリティーを持つ「ニッポン」を冠した「ニッポニウム」を使いたかったところでしょうが、これはかつて一度申請された後で結局誤認であったことが判明した幻の元素に付けられようとした名前だったからです。つまり、申請段階だったとはいえ一度使われた名前は使用できないというルールなのです。そのIUPACの命名ルールによって、響きのいい「ニッポニウム」は付けられません。

 

IUPACの命名ルールは、こんな感じです。

 

新元素の名前の選び方 伝統に従い、元素の名前は以下のようにつける。

・神話の構想または人物(天体も含む)

・鉱物または類似物質

・場所または地理的領域

・元素の性質

・科学者名

ただし、正式でなくとも一度付けられた名前は混乱を避けるため使う事は出来ない。

そして、末尾に「-ium」と付ける。

 

ですから、社名、組織名も不可ということで、候補に挙がっていた「リケニウム」も不可になったというわけです。

 

113番元素から119番元素へ

ちなみに、この113番元素の合成実験に成功したチームの森田主任は、次は119番元素合成に意欲を見せているそうです。

 

ということで、元素周期表のおさらいです。前述したとおり、原子番号は陽子の個数ですが、その陽子の個数と同じ数だけ電子が格納されますから、実際には各電子軌道に対する格納数をベースにして、各原子番号の元素の原子における電子配置が決まります。

 

[第1周期] 1s(2)             ……原子番号1~2

[第2周期] 2s(2) 2p(6)          ……原子番号3~10

[第3周期] 3s(2) 3p(6)          ……原子番号11~18

[第4周期] 4s(2) 3d(10) 4p(6)       ……原子番号19~36

[第5周期] 5s(2) 4d(10) 5p(6)       ……原子番号37~54

[第6周期] 6s(2) 4f(14) 5d(10) 6p(6)   ……原子番号55~86

[第7周期] 7s(2) 5f(14) 6d(10) 7p(6)   ……原子番号87~118

[第8周期] 8s(2) 5g(18) 6f(14) 7d(10) 8p(6)……原子番号119~168

[第9周期] 9s(2) 6g(18) 7f(14) 8d(10) 9p(6)……原子番号169~218

 

113番元素は、簡単に言うと、第7周期に属する元素であり、第7殻目の主殻であるQ殻の副殻である7p軌道に最初に電子が格納される元素です。既に、118番元素まで合成が確認されていますから、第7周期に属する元素はすべて発見されていることになります。したがって、119番元素というのは、いよいよ第8周期の元素発見の旅へと漕ぎ出したことになるわけです。

 

原子番号の上限はあるの?

最後に、私のような素人の素朴な疑問として、では、原子番号は最大何番が上限になるだろうかということです。

 

これには諸説いろいろありますが、ウィキペディアなどを調べると、特に有力なのは2つほどで、一つは原子番号は「137」までで、もう一つは「173」までというものです。その理由は、前者の「137」はファインマンの説で、原子番号、つまり、陽子数が137を超えると、ボーアの原子模型において、最内殻の1s軌道の電子が光速を越えるというものです。後者の「173」については、相対論的効果を加味すれば、陽子数はもう少し大きいものまで存在できて、陽子数が173になると、最内殻の1s軌道の電子の束縛エネルギーが電子-陽電子の対生成に必要なエネルギーに等しくなり、現在のような電子殻が維持できなくなるというものです。

 

マジンガーZ誕生か?

ところで、最後に余談ですが、当初有力視されていた「ジャパニウム」という名前ですが、実は、昔懐かしい1972年から1974年にTVで放映された、永井豪原作のロボット・アニメ『マジンガーZ』に登場した架空の新元素と同じ名前なのです。『マジンガーZ』をご存じの方なら「光子力」という言葉を覚えていらっしゃる方もおられると思いますが、その「光子力」こそ、「ジャパニウム核分裂の過程で抽出される光のエネルギー」とあるのです。

 

おお!永井豪恐るべし!まさか、彼は日本がこの113元素を発見するという予言者だったのでしょうか?(笑)確かに、日本は高いロボット技術も持っていますから、もし、この113番元素から新しく効果的なエネルギーが抽出されるなんてことになったら、本物のマジンガーZ誕生という日が来るかもしれません。

 

おお!マジンガーZの歌が聞こえる!

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